#一人ひとりの大切な人権 #教育 #暮らし

「はて?」違和感は対話を始める合図 「虎に翼」脚本家 吉田恵里香さんインタビュー(広報誌2025年夏号)

2025年07月01日

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吉田恵里香さん

◆プロフィール
1987年、神奈川県出身。NHK連続テレビ小説「虎に翼」、「花のち晴れ~花男 Next Season」(TBS系)、映画「ヒロイン失格」「センセイ君主」など多くの作品で脚本を手掛ける。NHK「恋せぬふたり」で第40回向田邦子賞を受賞。等身大の登場人物と社会課題に切り込む視点で、恋や人生のもどかしさを描く。

一人ひとりが開くジェンダー平等への扉

違和感をきっかけに、“対話”を重ねることが社会を変える

2024年に大きく話題を呼んだNHK連続テレビ小説『虎に翼』。

 日本初の女性弁護士となり、戦後、裁判官にもなった三淵嘉子さんの実話に基づくストーリーです。社会の理不尽に直面しながらも道なき道を切り開く物語に込めた思いや、ジェンダー平等実現に向けて大切だと思うことについて、脚本家の吉田恵里香さんにお聞きしました。

“生きづらさ”を書いたきっかけ

私たちが生きていくうえで「我慢すること」や「自分をぐっとこらえて耐えること」が、良いとされる風潮が、いまも根強く残っていると感じています。その中で、自分の意見を言えなかったり、「わがままなんじゃないか」「自分が悪いのかな」と思ったりして、気持ちをぐっとこらえる。そうすることで“生きづらさ”が生まれているのではないでしょうか。

でも本当は我慢しなくてもいい。我慢していることやつらいことを口に出したり、誰かに寄り添ってもらったりすると、少しでも生きづらさを和らげることができると思っています。だから脚本の中では、様々なかたちの“生きづらさ”を描写しました。

誰かの努力や頑張りで言いたいことを口に出せる環境ができるのではなく、それが当たり前であると伝えたく、この作品を書きました。

平等・自由を書き、心に寄り添う作品に

「虎に翼」は法曹界が舞台なので、平等や自由といったテーマをダイレクトに扱えるチャンスだと考えました。女性の生きづらさだけでなく、できるだけ多くの問題を取り上げることで、一人ひとりに寄り添える作品にしたい。半年間続く作品なので、一つのテーマを深掘りするのではなく、問題提起をどれだけたくさんできるかというのは、かなり心がけていました。

視聴者の方からは、ドラマの感想だけでなく、ご自身の悩みや、これまで話せなかったことを打ち明けてくださることも多く、それがこの作品をやっていて良かったと思う一番の瞬間です。作品を通して、我慢していることや悩みを話しやすくなるきっかけになったのなら、本当にうれしく思います。

吉田恵里香さん

「はて?」に込めた思い

作中で主人公・寅子が何度も口にする「はて?」という台詞には、2つの意味を込めています。ひとつは“対話を始めるための合図”です。疑問を感じたときに、それを飲み込んでしまったり、否定的な強い言葉をぶつけたりするのではなく“扉のノック”のような言葉で対話を始められるようにしたいと思って選びました。

もうひとつは、周りの人が“当たり前”とされていることにも疑問を持っていい、というメッセージ。「思ったことを口に出していこう」というのは、作品全体の大きなテーマのひとつです。だからこそ、疑問を言葉にしやすい空気をみんなでつくるための言葉として、「はて?」という台詞を選びました。

一人ひとりがジェンダー平等に向けてできること

一人ひとりが疑問を持って、意識を改革していくことが、平等な社会をつくっていくための第一歩だと考えています。たとえば、自分が常識だと思っていたことに対して、「それは常識じゃない」とか、「それは差別だ」と言われたとき、ムッとしたり、違和感を覚えたりすると思います。でも、そのマイナスの感情ともちゃんと向き合っていくと、一人ひとりの意識は少しずつ変わっていくのではないでしょうか。

無意識のうちに刷り込まれてきた認識や価値観が、世の中の“当たり前”として受け継がれてきたけれど、それを自分たちの代で変えていく。それがすごくかっこいいことである、という空気がもっと広まっていけばいいなと思っています。

無意識の思い込みによる“生きづらさ”とは…?

“女性は料理が得意”“男性は強くあるべき”―こんな言葉を聞いたり、誰かに言ったことはありますか?

 無意識による思い込みは知らず知らずのうちに誰かを傷つけたり、可能性を狭めてしまうことがあります。

◎性別による無意識の思い込みの例

女の子はおしとやかに
女性の方が気が利く
男の子だから泣かないで
男性だから力仕事をする

身近にある無意識の思い込み

昨年度の男女共同参画社会づくりに向けた県民意識調査の結果を見てみましょう。調査結果から無意識の思い込みが見えてきます。

 “男性だから”と、思い込みにより、こんな風に考えてしまうことはないでしょうか。

男性として生きづらさを感じること

管理職につく女性が少ない理由は男女によって回答に差があります。“女性だから”という思い込みによるものでしょうか。

管理職につく女性が少ない理由

 性別にとらわれず、一人ひとりの個性や選択を互いに尊重すること。それが自由で生きやすい社会を作るための第一歩になります。

一人ひとりが幸せ感じる滋賀の実現へ

「(仮称)パートナーしがプラン2030」を策定します

誰もが性別にかかわらず、個性や能力を発揮し活躍できる男女共同参画社会を実現するため、様々な人の意見を取り入れながら、令和8年度からの新たな計画を策定します。

ジェンダー平等のための「大人の学び、やりませんか?」

社会人を対象として、ジェンダー平等について学べるオンライン講座や若い世代との意見交換会を開催します。 

※詳細は決まり次第県HPにてご案内します。

吉田恵里香さん講演情報

脚本家 吉田恵里香 さんの記念講演が県内で行われます!ぜひご参加ください!

2025年人権週間協賛 人権尊重と部落解放をめざす県民のつどい
開催日時:令和7年12月7日(日)10:00~(受付9:30~)
開催場所:滋賀県立文化産業交流会館(米原市下多良二丁目137)
申込:事前申込不要(託児は事前に連絡をお願いします)
参加費:無料
お問合せ:(公財)滋賀県人権センター
TEL:077-522-8243
(詳細は後日HPでお知らせします)
公式HP:https://www.shigajinken.or.jp/

みんなで来てほしいのだ!


■問い合わせ:女性活躍推進課
■TEL:077-528-3771
■FAX:077-528-4807
■Email:fg00@pref.shiga.lg.jp

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