取材者:
角江 勇稀(立命館守山高等学校3年)
久徳 大貴(立命館守山高等学校3年)
2022年7月に、琵琶湖と共生してきた滋賀県の農林水産業が琵琶湖システムとして世界農業遺産に認定されました。さらに、琵琶湖とともにある滋賀県の農業は、環境にこだわった農業の実施割合が日本で一番と言われています。今回、私たちは環境にやさしい農業で生まれた、令和6年度にデビュー予定の近江米新品種「滋賀83号」について取材してきました。滋賀83号デビューまでの道のりと込められた想いを高校生の視点からお伝えします。
今回デビューする新品種「滋賀83号」について、滋賀県農政水産部みらいの農業振興課食のブランド推進室の成相桂(なりあいけい)さんにお話を伺いました。
新品種「滋賀83号」の特徴
今回の新品種である滋賀83号はこれまでのお米と比較すると大きく分けて4つの特徴があるそうです。1つ目は「食味に優れる点」です。味や香りなどを評価する食味官能試験※1にてコシヒカリと同等以上の成績を収めています。
2つ目は「品質に優れる」という点です。稲の長さを短くしたことによって倒れにくくし、なおかつ高温に強く大粒で外観も美しい形となりました。3つ目は「収量に優れる」という点です。生産者は美味しいお米をたくさん作りたいという想いを持っています。今回の新品種は滋賀県の既存の品種である「みずかがみ」や「コシヒカリ」よりも収量が多く、効率的な収穫が可能となりました。最後に4つ目は「中生(なかて)※2品種」という点です。県内で栽培の多い早生(わせ)※2品種と収穫時期が被らないため栽培が両立できる点で大変優れていると言えます。さらに、新品種である滋賀83号は、農薬や化学肥料を極力使わない環境こだわり栽培やオーガニック栽培※3に限定して栽培されるとのことです。
※1 食味官能試験・・実際に食べて美味しさを評価する試験。約20名の訓練を受けた職員により評価を行っている。
※2 中生(なかて)/早生(わせ)・・収穫時期の呼び名。収穫が早いものから早生(わせ)、中生(なかて)、晩生(おくて)と呼ばれる。「みずかがみ」や「コシヒカリ」は早生に分類される。
※3 オーガニック栽培・・化学合成農薬や化学肥料、遺伝子組み換え技術を継続的に使用せず、有機JAS認証を受けた栽培。
お米の食べ比べを体験して
今回デビューする新品種とコシヒカリの食べ比べを体験しました。
新品種はコシヒカリに比べて食感がしっかりしていて、お米がキラキラしていて目隠ししてもわかるほどの美味しさでした。また、冷めても美味しさが続くような弾力で身がぎっしりと詰まっている感じがしました。他にも実際に食べて感じることのできる魅力がたくさんありました。ぜひ名称投票へ参加して、新品種サンプルをゲットしてみてください!
最後に成相さんからは、お米は生活必需品であるため多くの消費者は価格の安さで購入されることが多いと思います。これから、生産者の想いや頑張りが評価され、多くの消費者から共感されて持続可能な農業になるように、価格としては少し高くなりますが、ぜひ購入して欲しいとこれから消費者になる方にメッセージをいただきました。
今回の取材を通して
今回の取材で、新品種デビューへのお話を伺い、私たちは近江米のニューフェイスとなる新品種のデビューへ期待が膨らみました。今回の新品種は“おいしい”だけでなく、環境への“やさしさ”を考え、身体にも“やさしい”お米になることが期待されています。琵琶湖がある滋賀県だからこそ作ることのできる唯一無二な品種です。お米は多くの日本人に愛される人気な食材の一つです。コシヒカリや今回の滋賀83号など多くの品種が生まれ、いかに効率的に生産ができるかも含めて、競い合う機会があるからこそこれからもお米は進化していくと思いました。この新品種は、生産者の方々、消費者の方々のことだけでなく、未来のことも考えられており、昔から受け継がれている環境に配慮した農業や私たちの琵琶湖を守っていくためのツールとして、さらには滋賀県の誇りとなる近江米ブランドとして世界へと羽ばたくお米となっていくと思います。
滋賀県からのお知らせ
今回デビューする予定である新品種の名称は、2023年1月31日(火)まで行われている投票によって5つの候補の中から決まります。また、投票してくださった方の中から抽選で10名様に新品種サンプル2kgが進呈されます。詳しくは下記URLよりご確認ください。
https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/shigotosangyou/nougyou/ryutsuu/327235.html
皆様に愛される新品種となるよう、名称投票へのご参加をお願いします!