誌面「滋賀プラスワン」で伝えきれなかった裏話もお届け!
唯一無二の少女が大津を駆け抜ける成瀬シリーズに全国から熱視線!
明るく楽しい小説を書いていきたい
MINA MIYAJIMA
小説家 宮島 未奈さん
大津市在住。1983年静岡県生まれ、京都大学文学部卒業。2021年「ありがとう西武大津店」で、第20回「女による女のためのR-18文学賞」大賞・読者賞・友近賞をトリプル受賞し、2023年『成瀬は天下を取りにいく』でデビュー。2024年1月、続編『成瀬は信じた道をいく』刊行。
第20回「女による女のためのR-18文学賞」で史上初の大賞・読者賞・友近賞トリプル受賞を果たし、「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本2024年本屋大賞」に選ばれたデビュー作『成瀬は天下を取りにいく』が全国的ベストセラーとなっている宮島未奈さんは大津市在住です。真っ直ぐで爽快な主人公・成瀬が誕生するまで、そして滋賀に対する思いや今後の抱負をうかがいました。
大津で小説家になる夢を実現
子どもの頃からずっと小説家になりたいと思って書いてはいましたが、賞に応募したことはありませんでした。大人になって、その夢を実現するのはむずかしいと気づき、25歳の時に筆をいったん置きました。その後、結婚して夫の仕事の関係で大津に住むことになり、もともと家にいるのが好きだったので主婦になりました。
もう一度、小説を書いてみようという気になったのは30代半ば、森見登美彦さんの『夜行』を読んだことがきっかけでした。『夜行』で描かれている、現実とは別のもう一つの世界、パラレルワールドでは私も小説家になっているかもしれない、小説を書くことで生きる世界を変えてみたいと思えたのです。
小説家になりたくて、30代半ばから本気で書いて、2017年秋から文学賞への応募を始めました。「R-18文学賞」初挑戦で最終候補に残ったことに手応えを感じて毎年応募を続け、4回目の挑戦で史上初の三冠受賞となりました。最初の挑戦で受賞していたら、成瀬というキャラクターは生まれてこなかったと思います。
主人公「成瀬」が生まれるまで
滋賀愛がすごいとよく言われるのですが、それは成瀬です。成瀬は大津を本当に愛していて、大津のために役立ちたいと思っているんです。私はたまたま大津に住んでいるから、身近で当時最もホットなトピックだった西武大津店の閉店を題材にしました。小説家になるために賞がとりたくて、賞をとるためには個性的で際立ったキャラクターが必要だから、主人公はちょっと変わった子にしようと考えて書き始めました。
成瀬は私が生み出したけれども、私ではありません。作品の中で成瀬が動いて成長していって…子どもに近い感じかな。全国の書店員さんが無名の作家のデビュー作を読んで、おもしろいと思って本屋さんの店頭にたくさん置いてくださったのも、作品の力ですね。私の力がすべてではないと感じています。
大好きな近江神宮で願掛け
滋賀でいいのはやはり琵琶湖。他にはないような場所だと思います。「ミシガン」は以前から家族でのおでかけで何度も乗っていたくらい好きです。ただ乗るだけでもいいですし、バイキングやアフタヌーンティーのプランもあって、いろいろな楽しみ方ができるんですよ。意外に乗ったことがないという方も多いと思うので、地元の人にもぜひ一度乗ってほしいですね。本当におすすめです。
それと、近江神宮は気持ちが落ち着いて迷いがなくなる。パワースポットです。赤い楼門がきれいで、参道の木立にも癒やされる、すごく好きな場所です。小説家になりたくて願掛けにも行きました。
滋賀は食のレベルが高い!
滋賀はおいしいものが多いですね。うなぎ、近江牛、お蕎麦、ハンバーグ、ラーメン、…おすすめしたいお店がたくさんあります。めちゃくちゃおいしいです!近江野菜もみずみずしくておいしいし、滋賀の食べ物はどれも本当にレベルが高いです。滋賀の人はもっともっと自信を持っていいです。
新たな視点で滋賀を見てほしい
滋賀を必要以上に賛美することはしないけれど、滋賀が自虐的に語られるのはとてもいやで、是正したいという思いはありました。滋賀には何もないなんて、とんでもないです!私の作品で「滋賀観が変わった」「大津に行ってみたい」「ミシガンに乗ってみたい」と言ってもらえて、良かったなと思っています。
いまは成瀬シリーズ第3作を執筆中。今後は青春ものだけでなく、ミステリーやファンタジーなど別の分野にも挑戦してみたいと思っています。
大津の商店街で見かけたら、お気軽に声をかけてください!
成瀬は天下を取りにいく
宮島未奈/著
中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍、閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。さらにはM-1に挑み、実験のため坊主頭にし、二百歳まで生きると堂々宣言。
今日も全力で我が道を突き進む成瀬から、誰もが目を離せない!
話題沸騰、圧巻のデビュー作。
成瀬は信じた道をいく
宮島未奈/著
成瀬の人生は、今日も誰かと交差する。「ゼゼカラ」ファンの小学生、娘の受験を見守る父、近所のクレーマー主婦、観光大使になるべく育った女子大生……。個性豊かな面々が新たに成瀬あかり史に名を刻む中、幼馴染の島崎が故郷へ帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており……!? 読み応え、ますますパワーアップの全5篇!