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大阪・関西万博の先に、滋賀県に残ったものとは?<2025年レガシーインタビュー Vol.01 万博編>

2025年12月25日

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2025年の滋賀県は、ある意味、スペシャルイヤーとも言うべき一年でした。
大きな話題となったのが、4月から半年間にわたって賑わった「大阪・関西万博」、そして9月に開幕した「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」です。どちらも滋賀県にとって数十年に一度の大舞台。多くの県民が参加し、県としても大規模なプロジェクトを次々に打ち出してきました。

そして今、万博&国スポ・障スポが終わった中で、様々なプロジェクトは何を残したのでしょう。

滋賀プラスワンでは、その答えを探るため、担当部署のトップへインタビューを行いました。

2回シリーズのうち、まずは万博編。
お話を聞いたのは、滋賀県 万博推進室・深井室長。半年間ずっと最前線で動き続けた“現場の責任者”です。

さあ、深井さん。大阪・関西万博を振り返っていただきましょう。

まず知りたい。“滋賀県は万博で何をしたの?”

――まずは大阪・関西万博、お疲れ様でした。万博を振り返ってみて、滋賀県として一番の成果は何だとお考えですか?

まず、滋賀県という決して知名度が高いわけではない県が、大阪・関西万博という国家的、国際的な事業に関西圏の一員として参加し、関西パビリオンの中に滋賀県ブースを設けました。正直、最初はちょっと休憩所みたいな扱いになるんじゃないかとか、諸外国のパビリオンがたくさん出る中で、どれくらい来ていただけるのか心配していましたが、最終的に40万人を超える方々にご覧いただき、しかも見た方から「良かった」「滋賀県に行ってみたい」といった嬉しいコメントをいただけて、評価も非常に高かった。滋賀のこれまで知られていなかった魅力をたくさんの方に知っていただけたというのが一つです。

同時に、滋賀県から子ども招待ということでチケットを提供させていただき、5万3千以上の申し込みをいただいて配布しました。コロナ以降、海外に行く機会が減り、国際的にも分断が問題となっている中で、滋賀の子どもたちにいろんな国の方、文化と触れてもらい、世界を身近に感じてもらうことができた。行った子どもたちの感想、アンケートでも、こちらが思っている以上のことを感じてくれていましたし、将来その子たち、そして滋賀の将来にも大きく影響してくると思います。ここの成果が大きかった。この2点ですね。

――関西パビリオンの中にある「滋賀県ブース」の展示、かなりの人気でしたね。

滋賀県ブース
184日間ありがとうございました

思ってもみませんでしたが、泣いてくださるお客さんがおられたことが驚きでしたし、嬉しかったです。出てくるときに「良かったです」といろいろ言っていただくんですが、印象的だった感想として「私の探していたものはこれだったんだなと思いました」と、泣きながら言っていただいた方がいました。万博自体は賑やかなお祭りでしたが、関西パビリオンの滋賀県ブースはすごくゆったりした演出でしたので、たぶん今の暮らしや社会の中で、自分になかったもの、求めていたものを感じていただけたのかなと思います。

県内の方からもすごく反応をいただきました。まず多かったのが「自信がついた」という話です。大阪・関西万博に滋賀県が出るって、ちょっと格好悪いことになっているんじゃないかとドキドキしながら来たら、他府県と並んでも引けを取らない、場合によっては海外パビリオンより良かった、独立のパビリオンでもいいぐらいだ、とおっしゃってくださる方もいました。たくさんの人が来て感動しているのを見て「我が滋賀県、やるな」という声をいただいたりもして、それが本当に嬉しかったです。

――滋賀プラスワンでは、西川貴教さんにご出演いただき、滋賀県ブースを紹介する動画も制作させてもらいました。深井さんにもご出演いただいてました。

そうですね、けっこう再生もされてると聞いてます。やっぱり、万博に行ける人ばかりではないので、行けない人にも会場の様子を知ってほしいという思いがありました。県内では、ご家庭の事情や健康の問題などで行けない方もいます。そういった方に「万博の中身はこんな感じです」と伝えるチャンネルがあるのは非常にありがたかった。そういった方に向けても発信していただいて良かったです。

「滋賀県ブース」での映像も、全編をインターネットで見られるようにしています。会場で滋賀県ブースに来られなかった方は、ぜひ以下のリンクなどからご覧になってください。

比叡山延暦寺”不滅の法灯”が万博会場を包んだ『滋賀県デイ』

――7月24日には『滋賀県デイ~びわ湖サマークルーズ~』というイベントが、EXPOホール「シャインハット」で開催されました。環境学習船「うみのこ」をテーマにした装飾も美しかったですし、なにより伝教大師最澄1200年魅力交流委員会によるパフォーマンスが圧巻でした。

比叡山延暦寺さんにもご協力いただき、1200年以上消えずに燃え続けてる”不滅の法灯”を持ってきていただきました。比叡山から法灯を持ち出すこと自体が非常に珍しいそうですが、万博会場では火の取扱について厳しい制約がありましたので、安全対策を徹底し、消防に許可をいただいて持ち込むことができました。
天台声明を披露してくださった皆さんは天台宗の選抜の方で、全国から比叡山に一旦集まり直前合宿をして臨んでくださったそうです。ごく普通の近代的なEXPOホールが、あの瞬間は、御堂のように一気に厳かな空間になりましたね。

――滋賀の歴史と文化を、世界に発信できたわけですね。

滋賀県は歴史ある県です。比叡山延暦寺は主要な仏教宗派の開祖を輩出した場所、そういったものを国際的な場に持っていけたのは良かったです。

世界と出会うきっかけに。子どもたちが感じた“本物の国際性”

――滋賀県では『子ども招待事業』もされていました。滋賀県内の小学生が無料で万博に行けるということでしたが、反応はいかがでしたか?

人数で言うと、53,298人です。ただこれはチケットをお渡しした方ということで、実際には「駆け込み万博」という言葉もありましたが、9月に入ってから一気に申し込みが増えまして、そこで申し込んで頂いた方には、もう入場予約が取れないという方もあったので、最終的にはこれより少ない数になります。

じつは万博の閉幕間際に、県内の子どもさんとそのご家族の方からご連絡をいただきました。万博子ども招待で訪問したヨルダンのパビリオンに子どもさんが感銘を受けたようで、「夏休みの自由研究でヨルダンを調べ、ヨルダンパビリオンや国についてまとめたものを万博会場のヨルダンパビリオンに届けたいが、入場予約がもう取れなくて持っていけないから何とかならないか」と、ご相談をいただきました。

――素敵なお話ですね!万博をきっかけで、世界に興味を持ち始めたんですね!

そうなんです。そんなことをしてくれた子がいるんだな、と、率直に驚きました。そこで、その子がまとめた資料は私たちがお預かりして、責任を持ってヨルダンパビリオンにお届けし、ヨルダンの方々に受け取っていただきました。そして、お渡ししたときの写真を、ご家庭にお届けしました。万博がなければ知らなかったかもしれない、接点のなかったかもしれない国に関心を持ってもらい、そこから広がったという出会いでした。

――学校単位でも多くの子どもたちが参加したと聞きました。

滋賀県内から学校として万博へ行ったのは、60校です。人数で言うと15,618人になります。高校が多かったですね。万博が始まる前は、生徒たちの「毎年、行き先がUSJだったのに、今年は万博になって残念だ」といった声を耳にしていたのですが、実際に行っていただいた学校からのアンケートでは、ものすごく楽しんでもらっていました。USJはいつでも行けるけど、万博は今年しか行けないので、行けて良かったという声をいただいています。

万博は「壮大な社会実験」だった。そこで残ったレガシーとは?

――先日、私たち編集部で守山市内の中学校を訪れた際、そこでこんな標語が張り出されていました。「万博のように交流しよう」、これは子どもたちが自発的に話し合って決めた標語だそうです。こういう言葉が出てくるほど、万博の影響力は大きかったのではないでしょうか。

すごくいい話ですね。まさにその通りですね。

やはり、万博をきっかけに、いろんな人に出会えたのが大きかったと思います。万博には、出展している165の国・地域・国際機関が集まっていましたが、その中には今まさに紛争状態のところもあります。開幕の直後にもインドとパキスタンの武力衝突があり、両方出展しているのにと思いましたが、同じ「リング」の中にみんながいるというのは、地球・世界の縮図だと強く感じました。地球上の広さでは隣の国が何をしているかわからないこともありますが、あの狭い空間にグッと押し込めると、肌の色、文化、言語が違っても「同じ人間だ」と近い距離で感じられる。子どもたちにもそれを体験してもらい、実際に交わることの大切さを感じてもらえたなら、とても嬉しいです。

――改めて、万博が終わった今、滋賀県にはどんなものが残ったと思いますか?

まず将来を考えたときに一番大きいのは、やはり子どもたちが、万博の半年間でさまざまな世界を感じてくれたことだと思います。世界にはいろんな国があり、いろんな人がいて、その他にも滋賀県ってこんなすごいところなんだというシビックプライドを持ってくれたこともあるでしょうし、万博会場で先端技術に触れて「こんなのを開発したいな」と思ってくれたことなど、さまざまあると思います。それが子どもたちの将来にどう生きてくるか、良い影響を与えてくれるかというのが、一番大きな話かなと思っています。

――子どもたちへの影響は、本当に楽しみです。私たち、大人も影響を受けましたよね。

正直、これだけの大規模なイベントに半年間関わってみて、壮大な社会実験でもあったな、という気がしてます。

じつは県の課長級以上の職員に対しては、「自腹で万博へ行ってレポートを出すように」という指示が出ていました。そうすると、大きなイベントを運営するときに、何に気をつけるべきか、2回目に行ったらここが改善されていた、ここはクレームが出そう、など、運営側の立場で多くを学ぶことができたんです。私どもも含めて、それが今後、県がイベントなどをするときに、良かったところも悪かったところも含めて、活きてくると思います。そういう部分も、万博のレガシーになってくるかと思います。

未来へのバトン――知事が語った言葉

――最後に、深井さんは、万博の価値はどこにあったと思いますか?

閉幕のときに、知事が新聞社さんからの取材で「レガシーって何なんですか」と聞かれたときに、知事は「ここでいろんな広報ができたり、情報発信ができたというのも大事だけれど、それよりも、滋賀の多くの人が万博に来て、感じたものを持ち帰って、そして何を生み出していくかというところに本当の成果がかかっている。それがレガシーだ」と、答えていました。
本当に大きなイベントでしたので、参加した一人ひとりが影響を受けて、ちゃんと社会が変わっていくんじゃないか、という実感を得ることができましたね。

万博で感じ、持ち帰ったものを、これからどう活かしていくのか。万博の本当のレガシーは、私たち一人ひとりのこれからに掛かっていくのかもしれませんね。

次回は、「国スポ・障スポ編」をお届けします。

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