小さな苗木を大切に育てて「山」を次の世代に引き継ぎたい
多くの人工林が利用期を迎えた今、県では、この森林資源を「伐って、使って、植えて、育てる」という循環利用を進め、健全な森林を次世代につなぐ取り組みを行っています。
苗木が森林になるまで
苗木を植えてから木材として使える樹木に育つまで、スギは40年、ヒノキは50年ほどかかります。滋賀県では、花粉の少ないスギ・ヒノキへの植え替えなど、利用期を迎えた山の木を伐採した後に苗木を植え付ける「主伐・再造林」が進められています。
まず、木を植えやすいように伐採した木の枝などを整理する「地ごしらえ」をしてから苗木を植え付けます。その後6〜10年ほど、苗木によく日光が当たるように、周囲の下草を除く「下刈り」を行います。雪が積もりその重みで傾いてしまった木が真っ直ぐに育つように縄をかける「雪起こし」も行います。
10年以上経つと、節の出ない木に育てるため、そして森林の中に日光が差し込むように下部の枝を切る「枝打ち」をします。
その後、5~10年ごとに、生育の悪い木を間引く「間伐」と枝打ちで健全な森林に育てます。
枝打ち、間伐材を搬出した樹齢33年のヒノキ林。
根元にはシカの食害を防ぐテープが巻かれている。
花粉の少ない苗木の植え付け。シカの食害や台風・雪などから守るため、様々な手入れが必要になる。
次の世代につなぐために
手入れをしないと〝山”になりません。樹齢に応じた様々な作業を次の世代が経験する機会を作るためにも、毎年主伐・再造林を続けています。作業後に整った森林を眺める時の爽快感は山でしか味わえないもの。好きな山の仕事を次の世代につなぐため、何年も先のことを考えて、自分が今できることを精一杯しています。
滋賀県産! 花粉の少ないスギ苗木 近江さわやか杉
スギは持続可能な森林資源として循環利用される、林業の重要な樹種です。県では花粉症対策として、花粉の少ないスギの育成を推進しており、花粉症対策のヒノキ苗木についても令和4年秋から出荷予定です。これらの苗木を活用し、花粉の少ない森林づくりを進めます。
災害に強い森林づくり インフラ周辺の「予防伐採」
台風・大雪などによる倒木が、道路や電線などの重要なインフラに被害を及ぼさないように、県では、市町・森林所有者・インフラ管理者が協力して予防伐採に取り組めるよう支援しています。