
大阪・関西万博の開催まで、あと2週間ほど。みなさんは、滋賀県も万博に参加することをご存じですか?
国内パビリオンの1つ「関西パビリオン」には、滋賀県を含む9つの府県が参加します。パビリオン内では、各府県の特色や魅力を発信!ここでしか味わえない体験型のゾーンもあるんです。
今回は、関西パビリオンの概要や、各府県の展示の見どころに迫ります。
関西の魅力が詰まった「関西パビリオン」

パビリオンの外観は、灯篭をイメージした六角形。建物の壁には、関西各地の象徴が切り絵により描かれています。
白い膜をスクリーンに見立てたライティング演出も行われる予定で、大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」のエレベーター等からも見えるように設計されているそうです。

関西パビリオンに入ると、まっすぐな廊下が中央のセンターサークルへつながっています。この廊下とセンターサークルは、「大関西広場」と呼ばれ、関西全体の魅力を表現する展示エリアも兼ねています。
各府県の出展ゾーンへは、センターサークルが起点。各ゾーンとも、出入口はセンターサークルにつながっていますので、気になる展示から体験するのがおすすめです。
ここからは、滋賀・福井・鳥取・三重・京都・兵庫・和歌山・徳島の各ゾーンの見どころや、見学所要時間を紹介します。
【滋賀】世界初の空間演出による光のアート

滋賀のテーマは「Mother Lake ~ びわ湖と ともに 脈々と ~」。
史上初めて海に囲まれた万博として開催されることから、琵琶湖と海のつながりをイメージした演出を体験できます。所要時間は約20分です。

エントランスには、直径約1.8mの信楽焼の大皿をスクリーンとして配置。万博会場の夢洲から淀川水系をさかのぼり、琵琶湖へとつながる水をCG映像で表現しています。
信楽焼の他にも、暗幕カーテン、ベンチ、タブレットスタンドなど、県内の企業が制作した資材がたくさん活用されています。映像だけでなく、展示資材にもぜひ注目してみてください。

メインショーでは、キネティック・ライト・ビジョン(KLV)という装置で、映像と光のアートを体感できます。3m×4mのステージ上で、450個もの光る球体が、大画面のパノラマ映像とシンクロする世界初の空間演出!映像は約1年かけて、県内各地で撮影したそうです。

滋賀の四季折々の風景、寺社や祭事、時間や天候によってさまざまな表情を見せる琵琶湖を幻想的に演出しています。
【福井】恐竜が目の前に迫る!VR体験

続いて紹介するのは滋賀のおとなり、福井県。福井県といえば、恐竜化石が多く発見されたことから「恐竜王国」と言われるほどの恐竜推し。万博会場でも、恐竜をテーマにした展示が広がります!
まずは、日本で初めて全身骨格が復元された恐竜「フクイラプトル」の実物大モニュメントがお出迎え。大阪・関西万博のために、恐竜造形家の荒木一成氏と福井県立恐竜博物館が監修し、新しく制作したそう。リアルな皮膚感や色合いが再現されています。
ぜひ会場で、インパクトある姿をよく観察してみてください。もちろん記念撮影も忘れずに!

次は、懐中電灯型デバイスを用いた発掘体験です。一人一台ずつ配布されるデバイスを使って、壁や天井を照らし、恐竜の化石を見つけてみましょう。

クライマックスは、4方向をスクリーンで囲んだVR体験。福井県内で化石が見つかった恐竜・フクイティタンも登場する大迫力の映像をとおして、恐竜の繁栄、絶滅から未来へと続く、1億2,000万年の時空を超えた旅を楽しめます。
この時空の旅エリアでも、懐中電灯型デバイスが活躍するそうですが、何に使うかは当日のお楽しみ!
VR体験は定員30名の入れ替え制で、シアターを含めた所要時間の目安は約20分です。リアルな恐竜の世界をぜひ体感してみてください。
【鳥取】「鳥取無限砂丘」で名探偵気分を味わえる
鳥取といえば、鳥取砂丘が有名ですが、人気まんが家ゆかりの地としても知られています。「まんが王国とっとり」ならではの展示や、まるで鳥取砂丘にいるかのような雰囲気を味わえます!
見学所要時間は15分ほど。エントランスでは、「まんが王国とっとり」の3巨匠、水木しげる先生、谷口ジロー先生、青山剛昌先生の代表作品キャラクター像が、来場者を出迎えてくれます。
海外で出版された3巨匠の作品や、今は販売されていないフィギュアなど、貴重な展示も見られるそうです。

奥へ進むと、鳥取砂丘の砂を敷き詰めた「鳥取無限砂丘」が広がります。六角形の鏡張りの空間を活かして、壮大な鳥取砂丘を再現!プロジェクション演出による、幻想的な砂丘の光景も必見です。

鳥取無限砂丘では、来場者が「とっとり魅力名探偵!」となり、専用デバイスを用いて鳥取県の魅力アイテムを探索できます。
アイテムに近づくとデバイスが反応し、ある仕掛けが見られるとか。鳥取県への旅で使えるお得なクーポンも入手できるそうなので、大人も子どもも夢中になること間違いなしですね。
【三重】煌めく「時のトンネル」からはじまる魅了空間

三重県は、山の幸と海の幸に恵まれ、伊勢神宮や熊野古道など、見どころも豊富。古くから「美し国(うましくに)」と呼ばれてきた由来を体感できます。
来場者の目を惹く、ミラーの反射を利用した「時のトンネル」を入口に設置。キラキラと輝くトンネルに気持ちが高まります。

トンネルを抜けると、5面の大型スクリーンに囲まれた「美し国みえ体験広場」へ。ここでは、「熊野古道」「常若」「自然」「歴史・文化」「産業」「食」の6つの特集テーマを設け、テーマごとに期間限定の特別展示が行われる予定です。

例えば「自然」の期間には、「自由の鐘」(※)を展示。アメリカ独立宣言時に打ち鳴らされた鐘を模したもので、1939年のニューヨーク万国博覧会にも出展されました。
なんと、1万2,250個の真珠と366個のダイヤモンドを使用した貴重なもの。「100万ドルの鐘」として見る人を驚かせたそうです。
※「自由の鐘」の展示期間は、2025年7月24日(木)から8月16日(土)の予定
参考:「美し国みえ体験広場」期間限定特別展示

最後のナビゲーションエリアでは、三重県の観光情報を閲覧できます。見学所要時間は約20分です。
【京都】京瓦による「ワンマテリアル」空間

京都ゾーンのテーマは、茶道において大切にされる精神のひとつ「一座建立」。来場者と出展者がお互いに交流できるようなイベントや、展示・実演が楽しめます。見学所要時間は約15分です。
床・壁の全面に、京瓦タイル「キモノタイル」が張り巡らされた、アーティスティックな空間が広がります。
空間デザインに協力したのは、国内外で精力的に活動する彫刻家の名和晃平氏が、2009 年に京都・伏見に創設したクリエイティブ・プラットフォーム「Sandwich」です。

注目したいのは、着物の前合わせを思わせる、独自のタイルパターン。幾何学的でありながら、不規則なリズムを刻んで配列され、動きと奥行きを演出しています。
京都芸術大学出身の映像作家・山田晋平氏が代表を務める株式会社青空による映像や、京都大学出身の音楽家・原摩利彦氏が制作したテーマ音楽など、京都にゆかりのあるメンバーが一体となって完成させた唯一無二の空間です。
展示は、「文化・食・産業・環境・いのち・観光」の6つの分野で、約1週間ごとに入れ替えながら行われる予定。何度訪れても、違う京都の魅力を楽しめそうですね。
参考:関西パビリオン京都ゾーン「ICHI-ZA KYOTO 一座きょうと」
【兵庫】「HYOGO ミライバス」~体験型SDGs空間~

兵庫県内の作家によるアート展示や、シアター形式の映像空間が見どころ。兵庫県立美術館ギャラリーの来場者と、オンラインで交流が楽しめる仕掛けも予定されています。
エントランスの「コウノトリの回廊」では、兵庫県の県鳥・コウノトリの折り紙が出迎えます。この折り紙は、県内の子どもたちが折ったものだそうです。

続く「ステンドグラスの回廊」には、兵庫の芸術活動家さんが手がけたステンドグラスを展示。壁の展示だけでなく、天井のステンドグラスもお見逃しなく。

メインは、「兵庫は続ける、乗り越える」をテーマに、臨場感あふれるシアター型の映像体験。「HYOGO ミライバス」に乗って、日本書紀に記された国産み神話から始まり、創造的復興など、時空を超えた兵庫県の魅力発見の旅へ出かけましょう。
シアターでの上映を含め、見学時間の目安は約20分です。
【和歌山】映像タワーが立ち並ぶアート空間で食も堪能

和歌山ゾーンの見どころは、紀伊山地の巨木をイメージした、高さ4mの映像タワー「トーテム」。トーテムには、紀州漆の技術が使用されています。

和歌山の過去・現在・未来を巡る「よみがえりの旅」が音と映像で再現され、中央のステージでは、週替わりでお祭りや伝統工芸の展示、パフォーマンスなどが実施されます。

和歌山ゾーンでは、食を堪能できるのも魅力のひとつ。和歌山の職人が県内の食材をふんだんに使い、和菓子とスペシャルドリンクのセットが味わえます。
特別企画として、毎月第3金曜・土曜の2回、梅酒や日本酒の飲み比べができる機会も予定しているそう。展示は自由見学ですが、セットメニューを楽しむ場合は、30〜60分ほど確保しておくのがベストです。
【徳島】「水とおどる」をテーマに徳島の魅力を五感で体感

徳島県の吉野川は、人やモノ、文化も運んだとされる歴史ある河川。「水とおどる」をテーマに、吉野川によって発展した文化や歴史を体感できるゾーンです。
釘をつかわずに木を組み合わせて作る「阿波指物」や、徳島産の原材料をもとに作られる「阿波藍・阿波和紙」など、徳島の伝統工芸品を活用した空間デザインにも注目です。

天井には「鳴門の渦潮」をイメージしたオブジェを設置し、水の流れを表現しています。キーカラーの「藍色」が空間全体をまとめ、まるで水の中にいるような感覚を味わえそう。

プロジェクションマッピングは、ただ見るだけではありません。秘境とよばれる渓谷に架けられた「祖谷のかずら橋(いやのかずらばし)」や、伝統芸能「阿波おどり」などが体験できます。
徳島ならではの「ナチュラル」「スピリチュアル」「サステナブル」を、ぜひ五感で体感してみてください。所要時間の目安は約15分です。
関西パビリオンで”関西の魅力”を再発見!

関西パビリオンは大屋根リングの北側、大阪メトロ中央線「夢洲駅」からすぐの東ゲートゾーンに位置し、アクセスしやすい立地です。
入館は予約制ですが、空きがあれば当日受付も可能だとか。毎日9:15〜20:15の間、15分間隔で1回あたり100人ほどの入館を想定しています。
また、多目的エリアでは、各府県のイベントが入れ替わり開催される予定です。最新の情報は公式サイトをチェックしてみてください。
まもなくスタートする大阪・関西万博。地元関西の魅力を改めて知る、貴重な機会になりそうです!