大津の街に堂々とそびえ立つこの建物。何の施設か知っていますか?中に入ったことがある方は、意外と少ないかもしれません。
この建物は、滋賀県庁です。1939年から85年間、この場所で滋賀の歩みを見守り続けてきました。そんな貴重な文化財をもっと県民にも知って、親しんでほしいと「滋賀県庁本館ツアー」が行われました。
滋賀に残る、戦前期最大の大建築
横幅は、全国の戦前の府県庁舎の中で最長の全長106m。鉄筋コンクリート造で地下1階、地上4階建て。戦前期最後の大建築として、国の登録有形文化財に登録されています。
設計は、日比谷公会堂も設計した佐藤功一と國枝博の共同設計。西洋の古典主義建築の様式を取り入れ、威厳と風格ある建物になっています。
玄関を入ると正面に大階段が続き、ステンドグラスから柔らかな光が注ぎます。階段の手すりについてるレリーフは信楽焼です。
ツアーでは普段は立ち入れない県会議場や貴賓室、知事室なども公開されました。
3・4階に吹き抜け構造で配置された県会議場。天井中央の照明や天井換気口にも装飾が施されていて、議席の机や椅子も建築当時のまま残っています。
現在は会議室として使用されている貴賓室。当時は来客のおもてなしのために使われた部屋で、隣には浴室もありました。
天井や鏡の漆喰装飾、大理石製の暖炉もその名残り。窓からは琵琶湖の眺望も楽しめました。
三日月知事が執務を行う知事室も凝った装飾が施されていて、歴代知事の写真も飾られていました。
県の職員さんでもほとんど立ち入ることがないという屋上も特別に公開。外から見上げていた塔屋がすぐ目の前に!
周囲に遮るものもないので、眺望も格別です。
そして、ツアーの最後にはその存在を知る人も少なくなってしまった県庁の地下通路にも潜入。
建築当時は県庁と旧滋賀会館をつなぐ地下街として、クリーニング店や理髪店などのお店が入り、賑わっていたそう。旧滋賀会館の閉館とともに通路は閉じられてしまいましたが、ひそかにロケ地とし利用され、表舞台に出ることもあるんです。映画「SP・革命篇」では、国会議事堂の地下通路の設定で撮影が行われました。
「今後はもっと県民のために開かれた施設にしたい」と三日月知事にも熱い思いがあるそう。
県民に愛され、自慢したくなる建物として、未来に繋いでいきたいですね。
県庁本館紹介動画も公開中!
もっと県庁の建物のことが知りたくなったら、特設動画をご覧ください!
今回のツアーでも中には入れなかった塔屋内部も公開されています!!
ぜひチェックしてみてください!
(文・福本明子/撮影・東田七星 赤井悠大/動画編集・大塚慎也)