滋賀の人との縁を大切に、これからも滋賀で活動を続けていきます!
滋賀を舞台にした小説『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞された今村翔吾さんは大津市在住。小説家、さらに直木賞への道を開いた滋賀への熱い想いを語っていただきました。
作家
今村 翔吾さん
1984年、京都府出身で滋賀県大津市在住。デビュー作『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』で第7回歴史時代作家クラブ賞・文庫書き下ろし新人賞、『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。2022年、『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。
滋賀で小説家の道へ
滋賀でダンス教師をしていたとき、教え子に「夢をあきらめるな」と言ったら、「翔吾くんも夢をあきらめてるくせに」と言われたんです。その言葉に衝撃を受けて自分の夢に正直に向き合い、小説家を目指そうと決意しました。30歳でダンス教師を辞め、昼は守山の埋蔵文化財センターの発掘調査、夜に執筆する生活を2年半続け、デビューすることができました。『塞王の楯』の大津城の堀を掘るシーンは、センターでの体験そのままなんですよ。滋賀に住み、滋賀の人たちとの縁がなければ、小説家としての今はなかったと思っています。
心ひかれる風景
場所や時間によって違う顔を見せる琵琶湖は、見飽きることがありません。特に湖西から見る日の出が一番好きです。太郎坊宮や三上山からの風景もいいし、信楽で器を作るのも好きで、何度も通っています。
『塞王の楯』の主人公である穴太衆の本拠地・坂本もおすすめです。ぜひ歩いて石積みを見てほしいです。自然の石を絶妙なバランスで組み上げる「野面積み」は穴太衆が最も得意とした技法で、非常に耐久性にすぐれているんですよ。
これからも「滋賀の作家」
滋賀は歴史の宝庫で、書きたいものがまだまだたくさんあります。美しい景色にあふれていて、モロコや赤こんにゃく、多賀の糸切餅など、おいしいものがいっぱいある滋賀が好きです。これからも滋賀の作家であり続けたいと思いますので、応援よろしくお願いします!