「獲ったどー!」という声が聞こえてきそうな満面の笑みで、船上でニゴロブナ掲げるのは、三日月大造・滋賀県知事。
これは滋賀県の郷土料理「ふなずし」を、もっと多くの方にPRしたいという三日月知事の想いから始まったプロジェクト。
今回、「ふなずし」の原材料となるニゴロブナの漁に挑戦しました。
そんな、知事の一日をご紹介します!
三日月知事、ニゴロブナ漁に挑む!
三日月大造・滋賀県知事は、じつは毎年、自分で漬け込むほど大の「ふなずし」好き。
「毎朝『おはよう』と声をかけながら発酵中の樽を叩くのが、おいしくなるコツなんですよ」と、饒舌に語るほど「ふなずし」愛の強い人物。しかし、その原材料となる「ニゴロブナ」の漁に出るのは、今日が初めてだったそう。
琵琶湖の固有種・ニゴロブナの漁は、水中に、カーテンの様に網を吊るし、通りかかった魚を絡めとる「小糸網」漁という手法で行われます。
春はニゴロブナの産卵期で、ふなずし作りに適したメスのお腹には卵がぎっしり詰まっています!
まず、漁師さんに教わりながら、ニゴロブナを網から外す作業に挑戦します。
なかなか網から外すのが難しいこの作業。もくもくと続けた結果、この日の収穫はニゴロブナ約10kg!
「ようけおるわ、大漁や!」と三日月知事も大喜びです。
熟練の技が光る!ニゴロブナの「つぼ抜き」
漁を終え沖島に帰港した後は、ニゴロブナのうろこを削ぎ、エラや浮き袋、内臓を取り除く「つぼ抜き」という作業に移ります。
お腹の卵を潰さないように包丁は使わず、浮き袋と内臓はアイスピックのような道具でエラから引き抜きます。熟練の技が求められる難しい作業。
つぼ抜きが済むと、発酵の下準備のため塩漬けにします。
桶で保存すること、3か月。7月頃に、桶から取り出し、ニゴロブナに飯を詰めて発酵させる工程を経て、ようやく冬に「ふなずし」が完成するのです。
「ふなずしを作れば、滋賀がわかる」
初めてのニゴロブナ漁を体験した三日月知事。
そもそも、なぜ今年は、ニゴロブナ漁から体験されたのですか?
「近年ニゴロブナやアユの漁獲量の減少が続いていて、琵琶湖の健康状態や漁師さんの声を肌感で知りたいと思ったからです。いざ漁に出ると、水を吸った網は重く、網にかかったニゴロブナを傷つけないように外すのが難しくて、漁師さんの苦労を知りました。あらためて尊い命をいただいているんだということも感じましたね。昔ながらの知恵が詰まった『固有の食文化』を次世代にどう受け継いでいくかが課題ですし、水資源の状況も注意深く見守り、継続して対策を施していきたいです。」
なるほど!
知事は、毎年、「ふなずし」を漬けていると伺いましたが、そもそも興味を持ったきっかけは?
「ふなずしには、琵琶湖で育まれるフナや米、そして人という一連の繋がりがあるので、ふなずし作りを通じて滋賀や琵琶湖のことがわかるんじゃないかなと思ったのがきっかけです。毎年漬けるたびに違った味の変化を楽しめるのも、ふなずし作りの妙味ですね。」
今日は、大漁!
おかげで桶には、たくさんのフナが塩漬けできました。
この桶の蓋が次に開けられるのは、7月頃の予定。発酵のために飯を詰めこむ作業を行います。
三日月知事のふなずし作り。年末の完成が楽しみです!
(文・結城弘/撮影・林正隆/編集・しがトコ編集部/動画編集・大塚慎也)