環境・防災

【学生企画】しがCO₂ネットゼロみらい賞受賞! 竜王町エコライフ推進協議会の取り組みから感じる、 一人ひとりがCO₂ネットゼロを自分ごとにする大切さ

2023年03月15日

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学生企画

web滋賀プラスワンでは県内の学生に県の取組を取材いただき、若者の目線で伝える【学生企画】を実施しています。
第6回目はCO₂ネットゼロの取り組みについて、顕著な活動を表彰する「しがCO₂ネットゼロみらい賞」の取り組みと、その表彰で「地域づくり部門」を受賞した竜王町エコライフ推進協議会の様々な活動を明山 真愛さんが取材しました。

取材者:
明山 真愛(滋賀大学教育学部1年)

 

竜王町エコライフ推進協議会主催の環境学習で小学生が火起こし体験をする様子

最近、電気代の値上がりやスーパーの商品の値段が上がっている記事など私たちの日常でも気候変動やエネルギー問題による影響を気にする機会が増えたと思います。私たちの生活をより持続可能なものにするために、一人ひとりに何ができるでしょうか?

私たちが住む滋賀県では、持続可能な社会に向けた取組の1つとして、CO₂ネットゼロムーブメントを進めています。今回は、私たちでもできる活動の見本となる取組を表彰する「しがCO₂ネットゼロみらい賞」を主催する滋賀県総合企画部CO₂ネットゼロ推進課と、2022年度「しがCO₂ネットゼロみらい賞・地域づくり賞」を受賞した竜王町エコライフ推進協議会の皆さんにお話を伺いました。

CO₂ネットゼロ社会づくりとは

滋賀県では、2050年のCO₂排出量実質ゼロを目指した「CO₂ネットゼロ社会づくり」を推進しています。地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を抑制する緩和策と避けられない温暖化の進行によって起こる被害を少しでも減らすために備える適応策の2つの観点から取組を進めています。単にCO₂を減らすために今の生活を我慢する取組だと持続的な活動には繋がりません。そこで、滋賀県では、CO₂ネットゼロ社会を2050年に達成するためCO₂を排出しない社会づくりと地域・経済の活性化の両方を実現する8本の柱を掲げています。(下図参照)そのうち6本目に掲げているのはムーブメントを起こすことです。滋賀県に住む私たちでもイメージしやすいムーブメントとしては、1970年代にあった「石けん運動」のような住民が主体となり、課題解決に繋がった取組が近いです。さらに、滋賀県のCO₂ネットゼロ社会の実現に向けた取組をWeb上に集約しているゼロナビしがの開設もムーブメントの一つです。また、私も9月から滋賀県が主催するCO₂ネットゼロ・次世代ワークショップに参加しましたが、このワークショップもムーブメントの一つであることを認識しました。ワークショップでは、大学生や高校生が参加していたため、CO₂ネットゼロ社会の実現に向けて若い世代の関心の高さを実感しました。

改めて、CO₂ネットゼロ社会に向けた滋賀県の取組やしがCO₂ネットゼロみらい賞について、滋賀県 CO₂ネットゼロ推進課の堀池知祥さんと山本昌幸さんにお話を伺いました。

滋賀県が掲げるCO₂ネットゼロ社会の実現に向けた8本の柱


滋賀県CO₂ネットゼロ社会づくり推進計画の策定(令和4年(2022年)3月)
http://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kankyoshizen/ondanka/324133.html

ゼロナビしが https://zeronavi.shiga.jp/

しがCO₂ネットゼロみらい賞

しがCO₂ネットゼロみらい賞は、CO₂ネットゼロ社会の実現に向けて優れた取組を行った個人や事業者、団体の功績を称え、優良事例として県内外に広く発信する「見える化」によって、ムーブメントの輪を広げることを目的として実施しているものです。平成25年から前身の表彰制度がありましたが、しがCO₂ネットゼロみらい賞として表彰を行ったのは今年が2年目でした。貢献度・独自性・持続性などが審査のポイントで、前年度の地域づくり部門では、近江八幡市桐原学区が地域に根付いた活動として選ばれています。 もっと多くの企業や団体の方がしがCO₂ネットゼロみらい賞に応募をしてほしいと堀池さんは話します。しがCO₂ネットゼロみらい賞が多くの方に知られることで「私たちもCO₂ネットゼロに取り組んでみよう」と思えるきっかけを作れるのではないかとおっしゃっていました。

若い世代への期待

これからも県民に対してCO₂ネットゼロ社会の実現に向けた情報発信に力を入れていきたいと話す山本さん。特に、若い世代にCO₂ネットゼロの取組に関心を持ってもらい、実際の行動に移してもらうためには、CO₂ネットゼロ社会を実現する過程で我慢や手間がかかるから面倒だという負のイメージを払拭する必要があるといいます。例えば、「自動車はCO₂を排出するから乗ってはいけない」ということではなく、使い方や使う場面を考えるきっかけとなるような情報発信をしていくことが大切です。新しいライフスタイルを定着させるのは難しいですが、これまでのCO₂ネットゼロムーブメントの取組によって、ごみの分別の必要性などを少しは浸透させることができたという実感があります。まずは、「自分ごと」にすること。そして実際に行動した人が発信することで、環境への働きかけの輪が一歩ずつ広がっていくのです。自分自身も「しがCO₂ネットゼロ次世代ワークショップ」に参加して、体験や参加者との交流を通してCO₂ネットゼロ社会づくりに向けた取組を以前より自分ごととして考えられるようになったり、自分が変えていける部分は何かという視点を持ったりできるようになりました。

楽しくCO₂ネットゼロに取り組む

楽しくCO₂ネットゼロに触れてもらったことをきっかけに行動してほしいと思っています。紹介した県の特設サイトでキャンペーンを実施したり、補助金に関する情報を発信したりしています。他にもイベントなどで楽しくCO₂ネットゼロ社会づくりに向けた取組に触れてもらう工夫をしています。 真面目に頑張らないといけないとなるとハードルが上がり、活動の継続が難しくなると思います。例えば、環境にやさしい食生活を心掛けようとするあまり、周りの方にも自分のライフスタイルを押し付けてしまい、変化を負担と感じてしまい、徐々に疲弊していきます。そのため、私たちの生活に徐々にCO₂ネットゼロが関係するようになってきて、ちょっとずつ生活を見直してみようと思う人が増えることが重要です。これからも環境教育のイベントなど情報を発信して知ってもらうきっかけを作っていきたいと意気込みをいただきました。

取材終了後の記念写真
左から順に、堀池知祥さん、山本昌幸さん、明山真愛

竜王町エコライフ推進協議会 会長:山田清広さん

次に、令和4年度しがCO₂ネットゼロみらい賞の地域づくり部門で受賞された竜王町エコライフ推進協議会の会長の山田清広さんと、竜王町生活安全課 環境推進員の北川容子さんにお話を伺いました。

しがCO₂ネットゼロみらい賞に向けた取り組み

竜王町エコライフ推進協議会は平成17年に設立され、事務局は竜王町生活安全課が担っています。竜王町に住んでいる方が役員や会員となっていますが、当初は町民のみなさんが受け身であり、活動が難しかったと山田さん。トップダウン型の構造を改めて様々な方の意見や感想を積極的に取り入れて活動しています。

2020年1月に滋賀県が「しがCO₂ネットゼロムーブメント」キックオフ宣言をしたことを受け、町民の方に、より一層環境問題に関心を持ってもらい、行動するきっかけをつくる、CO₂ネットゼロ社会の実現に向けた働きかけをしています。同年7月には協議会で「しがCO₂ネットゼロまちづくり宣言」を行いました。

竜王町生活安全課 環境推進員:北川容子さん
町民が参加してグリーンカーテンを作りました

この宣言以前からエコを普及するため活動をしてきましたが、この1年は受賞を目指して活動を進めてきました。具体的な取組としては、小学生への環境学習や県と連携してうちエコ診断を行ったり、エコフェスタでダイハツ工業等と協働でブース展示をしたり、食品ロス削減の一環としてフードドライブを行いました。 他にもグリーンカーテンの苗を配布する活動では、苗をもらってもうまく育てられないという声があったため、グリーンカーテンを茂らせる方法を伝授する講習会を実施しました。また、地域資源の循環を推進するために、新たに町の防災センター前に木製コンポスト枠を設置し、刈草や落ち葉を使った肥料づくりの様子を見せています。今後は、段階を踏みながら環境に配慮した活動をより主体的に町民の皆さんに行なってもらえるよう、自分たちで肥料や苗を作るように計画をしています。北川さんの「過去と同じことをするのではなく、変えていかないといけない。」という熱い言葉から、多くの方に環境活動を広めていきたいというひたむきな姿勢を感じました。また、竜王町内にとどまらず他の市町など外部の方とも協力していること、町民の皆さんが中心となって活動していることで、柔軟に活動しやすいことという2点が今回の受賞につながったそうです。

竜王町エコライフ推進協議会のこれから

竜王町エコライフ推進協議会の今後の展望について伺いました。

1つは、子育て世代や若い世代に活動に参加してもらうことです。協議会は若い方が少なく、中心メンバーの高齢化が進んでいます。次世代につなぐために若者に主体的に参加してもらう必要があります。

そこで、イベントでは子育て世代が参加しやすいようにするためにベビー用品を取り入れたり、親子で参加できる火起こし体験学習を実施したりしました。イベントに参加してもらうことで、環境活動の重要性や楽しさに気づいてもらい、参加者から働きかける側になってもらうこと、そして、子育てが落ち着いたときには協議会の中心となってもらえることを期待しています。

さらに、高校生や大学生などの若い世代に向けては「若者が『一緒にやってみよう』と思えるように働きかけたい。協議会の取組の良いところも悪いところも含めて率直な意見が欲しいので、そのための場づくりをしていきたい。」と山田さんはお話されました。

もう1つは、環境活動の拠点となる場所を作ることです。竜王町役場を中心とした文化ゾーンを作るという構想があります。その中で、コミュニティセンターを建てる計画があり、そこを環境活動の拠点にすることで、多くの方に環境問題に対する意識を芽生えさせる仕組みができないかと考えているそうです。今回の取材を通じて、環境問題は農業や防災など多岐にわたる関連があることが分かりました。活動拠点を中心にさまざまなアプローチから環境問題に取り組むきっかけを作ることができれば、みんなが環境問題に取り組んでいる!と言えるようなまちになっていくのではないかと感じました。

ひとの意識の違いに対して

山田さん、北川さんのように環境問題に積極的に活動されている方がいる一方で、環境問題などは遠いことであると思っている方も多いです。そのような人をどのように巻き込んで一緒に頑張っていくと良いのでしょうか。「ひとそれぞれ意識の違いがありますが、各々のニーズにあった環境問題に取り組めるきっかけを作り、まち全体の取組を底上げしていきたい。」と北川さんは話されました。ひとの意識の差にめげずに、継続的に活動していくと、少しずつ心の距離は近づいていくのだと感じました。例えば、グリーンカーテンを設置すると光熱費が下がるというのは、環境に配慮するメリットを感じる方もいるかもしれません。金銭的なメリットで動く方もいると考え、色んなアイデアを考えて試していけばきっと誰かには届くはずです。

しがCO₂ネットゼロみらい賞で皆さんが個人や団体の活動を知ったり、応募することで気候変動などの問題を身近に感じて行動できるようになったりすると良いなと思いました。

取材終了後の記念撮影、しがCO₂ネットゼロみらい賞受賞盾とともに
左から順に、山田清広さん、北川容子さん、明山真愛

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