取材者:
佐藤彩香
(立命館大学食マネジメント学部3年)
今回は、5年前に就航した「新うみのこ」について、びわ湖フローティングスクールの川端義和さんとともに、うみのこを見学し、インタビューを行いました。私が、うみのこに乗船してから約10年が経ち、旧うみのこを体験した経験を振り返りながら、新うみのこで感じた驚きや変わらない想いをお伝えします。
新うみのこを見学
新うみのこを見学して感じたのは、旧うみのこの懐かしさが残っていたことです。
船内を見ると、宿泊室・食堂などにモニターが設置されていました。これまでは、児童全員への共有が難しかった情報等について、映像でわかりやすく観察したり、ご飯を食べながら外の様子を見ることができたりと、より現代的な学習環境が整っていました。一方、多くの滋賀県民の記憶に残っている食堂では、私たちの見学前に小学生を乗せて航行していたこともあり、うみのこで食べるカレーの香りが漂い、昔の記憶を思い出し、懐かしさを感じました。さらに、新うみのこの内装には、甲板や会議室、テーブルなどの器具など至る所に滋賀県産の木材が使われており、木の温かみを感じることができる空間作りも行っていらっしゃるとのことでした。
また、旧うみのこは、一般的な車などと同じエンジン船でしたが、新うみのこは電動推進船※に稼働方法が変わり、環境学習船として、環境に配慮した仕組みが行われていました。このような目に見えないポイントにも、環境について本気で考えている滋賀県の強みを感じることができました。
※電動機でモータを稼働させ、スクリューを駆動する船。ディーゼルエンジンを用いて、発電機を運転させている。
いまのうみのこ学習
うみのこの学習プランは、環境学習と仲間づくりというテーマで、フローティングスクールの教職員の方々が複数のプログラムを準備され、その中から各学校の先生が相談して、プランを立てています。
水の透視度調査やプランクトン調査など昔からあるプログラムから、水中ロボットカメラを使った調査や大きな衛星写真を使った解説、水中デジタル温度計を使った湖底の調査など最近できたプログラムまで、様々なプログラムが用意されています。プログラムは年々更新されていきますが、「本物を感じる」というコンセプトは今も昔も変わりません。年月を越えても、うみのこの上で子どもたちが目をキラキラ輝かせて喜んでいる姿は変わらない光景となっています。
今回の取材を通して
私は、滋賀県が大好きです。そのきっかけを考えたときに、びわ湖フローティングスクールでの体験は外せません。体験で感じたびわ湖の自然や、仲間と過ごした時間は今でも大切な思い出になっています。実際、高校・大学に進学した際に、県内の同級生と話をすると「私もその日に乗っていた!」と意気投合し、友人となったような経験もあります。その経験は私の中で特別であり、私が大学生となった今も滋賀で活動し続ける一つの理由になっています。
また、びわ湖フローティングスクールで培われた好奇心は今も研究活動で役立っていると感じています。水の透視度調査をしたときのワクワク感は、今も鮮明に残っています。日常の学校生活では体験できないような、ワクワク・好奇心は、熱中して課外活動に取り組んだり、勉強の中で新たな発見をしたりする上で、大切な感覚だと思っています。うみのこでの体験には、その好奇心を培うきっかけがたくさんありました。
一方で、新型コロナウイルス感染症の感染予防対策から、現在は宿泊での航行は行っていないことや、学校間での混合チーム編成がないことなど、ご自身もびわ湖フローティングスクールを体験された保護者の方々からすると「かわいそう」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、新うみのこではそれを超える様々な新しい体験や設備が充実していることが、今回の見学で分かりました。ぜひ、これからびわ湖フローティングスクールを体験する小学5年生の皆さんには「まず楽しんでみよう!」という考えのもと、滋賀県独自の様々な経験を積んでいただきたいと思っています。
川端さんから「うみのこ」を体験される皆さんへ
「船の中で”ホンモノ”を体験できるのが、うみのこの醍醐味です。うみのこでしか見ることのできない景色や感覚をたくさん体験することができます。ホンモノの体験を少しでも感じて自分自身で吸収していただき、自分たちがいる滋賀を大切に思う気持ちを培っていただきたいです。」