
全国各地でクマの出没が相次ぎ、人的被害のニュースが連日報道されています。
滋賀県内でもクマの目撃情報があるなど、野生動物と人との距離が近づいている現状があります。
私たちの暮らしを守るため、日々、野生動物と向き合っているのが猟師(ハンター)です。
滋賀県では毎年15,000頭を超える野生動物が捕獲されていて、なかでも多いのは農作物への被害が深刻なシカとイノシシ。
今回は、野洲市で活動する猟師の現場に密着し、その実態に迫りました。
里山に迫るイノシシとハンターの攻防
集落のすぐそばに広がる里山で、イノシシの出没が相次いでいます。
地面には無数の足跡が残り、田んぼや畑が掘り返される被害は深刻な課題。
地元の自治会は獣害フェンスを設置し、猟師たちは罠を仕掛けて地域ぐるみで被害を防ごうとしています。
しかし、イノシシも学習します。
罠にかかるのは経験の浅い子どものイノシシくらいで、大人はなかなか捕まりません。
「イノシシは年に2回お産をして、一度に6頭くらい生まれる。どんどん繁殖しているんです」。
そう語る猟師の多くは、農業をしながら自分たちや地域の暮らしを守るために猟師も兼業しています。
山での猟はチーム戦。山の地形を考慮してイノシシを追い込む計画を立て、犬を使って追い込み、獲物の位置を把握します。
話し声がするとイノシシに気づかれるため、山のなかで1〜2時間、無音で身を潜めることも珍しくありません。緊張感に包まれた静寂の時間。
それは、人と動物の生存をかけた攻防の瞬間です。動物も、人間の生活も、どちらも生きるために必死なのです。


クマとの遭遇を防ぐために
また、全国的に話題となっているのがクマによる人的被害。
滋賀県内でも、令和7年8月末までに61件のツキノワグマ目撃情報が寄せられています。
秋は、冬眠前のクマがエサを求めて行動範囲を広げる季節。湖北地域や湖西地域を中心に、集落近くでの出没が増えるおそれがあります。
クマとの不意の遭遇を防ぐため、次の点に注意しましょう。
クマを引き寄せない環境づくり
生ごみやペットフードなど、クマを引き寄せるものを屋外に置かないようにしましょう。収穫予定のない柿や栗の実、蜂の巣なども撤去してください。
音を出して存在を知らせる
ラジオや鈴、笛などで音を出し、自分の存在を知らせながら行動しましょう。
危険な時間帯の単独行動を避ける
早朝や夕方などの時間帯は、単独での行動を避けましょう。クマは夜明け前や夕方に活動することが多く、見通しの悪い時間帯は特に注意が必要です。
見通しをよくする
人家や農地、通学路周辺のやぶを刈り払い、見通しをよくしましょう。クマが身を隠せる場所を減らすことで、不意の遭遇を防ぐ効果があります。
人と動物が、心地よく共に生きるために
猟師の活動は、危険と隣り合わせ。安全に作業を行うためには、地域の理解と協力が欠かせません。
野生動物もまた、同じ滋賀の自然の一部。
人も動物も安心して暮らせる環境を守るため、猟師、地域、行政が力を合わせた取り組みが続いています。




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